薬としての「わたし」の物語

子どもの『困った』に、
言葉で言うのじゃない。
お話で語りかけるやり方があります。

例えば、写真はイソップ『二頭のヤギ』。
お互いにゆずらなかったヤギが、
二頭とも川に落ちてしまう話。

身に覚えがあると、
「自分もそういうとこある」
と子どもは神妙になったり。

でも10歳ぐらいを超えると、
『お話』がいまひとつ効かなくなることも…。

そんなときには、
親の体験談が薬になったりします。

「お母さんもそんなことがあったよ」
「 お父さんが体験したことだけど」
と、膝を寄せ合って語る。

心や体の変化に悩み始める時期だからこそ、
ファンタジーではない現実の話。
挿絵付きの本じゃない、
目の前の生きているストーリー。

やってみると、
子どもの目が輝くのがわかります。
安心と尊敬と憧れの目。

10歳を超えてきて、
大人に近づいていく。
小さな大人としての子どもを迎え入れる。

それまでのファンタジーじゃ届かないから、
「わたし」の体験の物語。

いつかこの子も、
「子どもの頃、お母さんに聞いたの」って。
小さな手に『物語』を託すかもしれません。

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