言葉に添える傘

季節の揺らぎよりも、
この子の表情が気になる。

曇ったり晴れたり、
今日は小雨かしら?

そんな時、
親にできるのは天気予報ではなくって、
愛情の傘をさしてあげること。

例えば、
「いってらっしゃい」
「おかえり」

あたり前にしているあいさつ。
そこに、ポンって傘を添えてあげる。

「いっておいで。
好きなおやつ作っとくからね」

「やあ、かえったね。
待ってたよ」

そんなふうに言って、
頭をなでてあげる。
ひざをついて目を合わせ、
にっこり微笑む。

たったそれだけ。
何十分もかけなくていいし、
気合いだっていらない。

ちょっとだけでいい。
さっとやれる。
そう思えるからこそ、
繰り返し何度でもやれる。

「いってらっしゃい」
「おかえり」
言葉にほんのすこし、
手や目のぬくもりを添える。

まるで色とりどりの、
その日その時の、
傘をひらくみたいに。

いつもの言葉に傘をさして、
子どもの気持ちを包み込んでみる。
ぎゅっと包めたら、
きっと笑顔になっている。

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